ご覧いただきありがとうございます。デザインはドイツのゾーリンゲン産ハンティングナイフなのですが、日本の鍛治師が本気で作った、日本刀と同じ鍛造技術にて作り上げたナイフです。画像にもありますが、昭和の代表的なナイフメーカー藤本保広氏のプロデュースするブランド「東京ナイフ」と同じ、ビクトリーマークのレザーシースが付属しますので、ブレードの刻印から岐阜県関市製造と判断されますが、そちらの地域での氏の関係品なのではないかと思われます。
本割込とは、現在の鋼を軟鉄でサンドイッチした利器材では無く、鍛造の段階で真っ赤に赤熱する軟鋼を「本」のようにタガネで開いて、そこに硬い鋼を「割り込ませ」てから鍛造するという、鍛治師でなければできない製法です。当時、一本ずつ手作業で鍛造していた、ということになります。ハンドルは牛骨にオイルと染料を染み込ませてからチェッカリング加工する「ジグドボーン」という、アメリカのCASE社などが採用する、手の込んだものが用いられ、真鍮のヒルトとアルミのバットキャップで固定されています。グラつきもなくしっかりしています。
特筆すべきは保存状態で、鞘にカビなども無く、こういったジャパンビンテージにありがちな「その辺の砥石で、お父さんガシガシこすっちゃった」跡が全く無いどころか、薄く削がれたブレードは、当時の工房でエッジ付近のみ緩やかな蛤刃に仕上げられたままの状態で、腕の産毛をサラリと剃り落とす切れ味を保っています。流石に保護塗装もコーティングもないブレード表面には、新品当時の輝きこそは失われて長期保管に伴う変化が出てきていますが、砥ぎ減りも全く無くエッジは新品状態をキープしていると思われます。
昭和の安かろう悪かろうの量産登山ナイフは大体、ブレードのグラインドが甘くてエッジラインが分厚く、砥ぎ角も鈍いものですが、本品はブレードバックの最も厚みのあるところで4.8ミリ厚の中央より背寄りから、ほぼセイバー寄りの薄いホローグラインド加工がされているので、エッジの幅もごくわずかです。このような良品が実に50年ほど前に丁寧に作られていた、という事実だけでもなかなか興味深いものです。
とはいえ、長期保管品ですので、滲み出た細かい錆や劣化の跡はご了承ください。写真でご確認いただき、ご納得いただける方のみご購入ください。他媒体で売れた場合には出品中止する事があります。
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